●姿勢と痛みって本当に関係するの?
「正しい姿勢をすれば痛みがなくなる」とよく言われますが、実は科学的にはそうとは言えません。
最近の研究では、姿勢と痛みの関係はほとんどないことが分かっています。
例えば、昔から言われている「標準姿勢」は、もともと軍隊の姿勢を模範に作られたもので、日常生活に適しているとは限りません。
最新の研究でも、この「標準姿勢」が本当に体に良いのかは疑問視されています。
●姿勢が大事だと言われる理由
分かりやすいから
「ストレートネックだから首が痛い」など、姿勢のせいにすると簡単に説明ができます。
でも、実際には「姿勢が良くても痛みがある人」「姿勢が悪くても痛みがない人」がいるので、一概に姿勢だけの問題とは言えません。
伝えやすいから
病院や整体などで「姿勢を良くしましょう」と指導されることが多いですが、
実際には痛みの原因は姿勢だけではなく、ストレスや生活習慣など色々な要素が絡んでいます。
ビジネスになるから
最近はAIによる姿勢分析などが流行っていますが、そもそも「標準姿勢」自体が科学的に痛みと関係が薄いため、これらの分析や矯正が本当に意味があるのかは疑問です。
●「正しい姿勢」って本当にあるの?
「姿勢を気にしすぎないことが大切」
実は、「姿勢を気にしすぎること」がかえって体の不調につながることもあります。
例えば、猫背を直そうとして無理に背筋を伸ばし続けると、逆に筋肉に負担をかけたり精神的な疲れによって痛みが出ることがあります。
「自分にとって快適な姿勢がベスト」
「正しい姿勢」は一つではありません。むしろ「自分にとってラクな姿勢」を見つけることの方が大事です。
研究では、人は自然とエネルギーを節約できる姿勢をとることが分かっています。
「動くことが一番大事」
「正しい姿勢をキープする」よりも、「こまめに動く」ことの方が、痛みの予防に効果的です。実際に、動くことで脳が痛みを抑える働きをしやすくなり、体の炎症も抑えられることが分かっています。
●すぐできる快適な姿勢のコツ
25分ごとに体を動かす(ポモドーロ・テクニック)
長時間同じ姿勢を続けると体に負担がかかります。25分作業したら5分立ち上がって動く、このサイクルを意識しましょう。
超簡単な運動から始める
1分程度の軽いストレッチを毎日続けるだけで、体の負担を軽くできます。
難しい運動や動きではなく、まずは簡単で心地よくできるような動きや運動から始めてみましょう。
☆まとめ
「正しい姿勢=痛みが減る」は科学的に証明されていない。
大事なのは「自分にとってラクな姿勢」をとること。
こまめに動くことが、痛みの予防・改善につながる。
姿勢を気にしすぎず、自分が一番ラクに感じる動きや体の使い方を意識してみましょう。
動画でより詳細に解説しています!よければご覧ください!
参考文献
Barra-López, M. E. (2024). The standard posture is a myth: A scoping review. Journal of Rehabilitation Medicine, 56(1), 41899. https://doi.org/10.2340/jrm.v56.41899
Roggio, F., & Musumeci, G. (2023). The progression of human posture concept and advances in postural assessment techniques. Bulletin of the Gioenia Academy of Natural Sciences of Catania, 56(386), FP616–FP638. https://doi.org/10.35352/gioenia.v56i386.113
Osqueizadeh, R. et al. (2023). Reliability and validity of observational methods for postural load assessment: An updated systematic review. Health Scope, 12(4), e137573. https://doi.org/10.5812/healthscope-137573
IASP(国際疼痛学会)「痛みの定義」(2020年改訂) [オンライン] https://www.iasp-pain.org/resources/terminology/#pain
日本疼痛学会「IASPによる『痛みの定義』及びその解説(2020年版)」 [オンライン] https://jasp.pain-research-jasp.org/pdf/notice_20200818.pdf
Comments